一番好きな絵は何?
そう尋ねられたら迷いなくザオ・ウーキーの青い絵と答えます。

ザオ・ウーキーは北京で生まれた後にパリを拠点にアーティスト活動を行った画家です。
彼が描いた青い絵「07.06.85」(1985年)に初めて出会ったのはまだ学生の頃で、もう10年ほど前でしょうか。
現アーティゾン美術館の前身であるブリヂストン美術館の一番奥の展示室に飾られていたことを覚えています。

アーティゾン美術館で買ったポストカード

「07.06.85」(1985年)
完成年月日が題されたこの青い絵は、
光の当たり方、絵との距離、どんな気持ちで絵と向き合うか等その時々で全く違う表情を見せてくれます。
以前は目につかなかった白が浮かび上がってきたり、
絵の上に船が走っているように見えたり…。

当時、自分の写し鏡のような絵だと衝撃を受けました。

この青い絵を収蔵しているブリヂストン美術館は2015年5月に長期休館となり、2020年1月18日にリニューアルオープンし「アーティゾン美術館」となりました。

この絵にあえなくなることがとても悲しく、閉館前に見にいったときには涙しました。
(リニューアルオープン後にも見にいって再会の嬉しさで泣いた)

個人的に大きな思い入れのあるアーティゾン美術館。
そのYoutubeチャンネルがとてもおもしろいのでご紹介です。


アーティゾン美術館 Youtubeチャンネルとは?


アーティゾン美術館 / Artizon Museum

アーティゾン美術館はどうやら休館した2015年5月からYouTubeチャンネルを開設していたようで、様々な興味深いコンテンツが追加されています。
一つの動画に対して日本語版と英語版を作成してくれている親切なつくり。


ブリヂストン美術館 Best of the Best





ブリヂストン美術館を代表する収蔵作品を紹介している動画です。

モネの《睡蓮の池》、ルノアールの《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》など誰しもが知る有名な作品たちの数々。
これを見るといかにこの美術館が収集してきた作品が素晴らしいかがわかります。

過去訪れたブリヂストン美術館は常設展示は見事で一定数のファンがいるところでした。
記憶が確かであればモネの《睡蓮の池》の前にはゆったりと座れるソファがあり、
景色を眺めるように作品を鑑賞ができるのです。



ザオ・ウーキー《07.06.85》の紹介動画



なんと贅沢なことにザオ・ウーキーの青い絵の紹介動画もアップされています。
絵の概略だけでなく、作者・ザオ・ウーキーの経歴にも触れてくれています。

この作品だけでなく、他マティス の《青い胴着の女》、モディリアーニ の《若い農夫》など何作もの動画がアップされています。
一つ一つの動画が2分弱の短いものとなっているので、スキマ時間でも見やすいです。


ギャラリートークも公開されている




アーティゾン美術館 学芸課長である新畑氏によるギャラリートークも無料公開されています。
こういったプロフェッショナルのお話をきける機会はなかなかないのでとてもありがたい。


江戸絵画研究の第一人者、小林忠先生による講座も配信



現在開催中の企画展「琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術」の監修者である小林忠先生によるアート講座動画も配信されています。


琳派と印象派 東⻄都市文化が生んだ美術 | アーティゾン美術館

2020年11月14日[土] - 2021年1月24日[日] 予約受付中 琳派は、17世紀初めの俵屋宗達、18世紀初めの尾形光琳らによって、日本の都であった京都の町人文化として生まれ、19世紀初めに酒井抱一や鈴木其一らによって、将軍お膝元の江戸(現在の東京)に引き継がれた、装飾的な美感を核として発展した都市の美術でした。


こちらの企画展は桃山時代後期~近代至るまで活躍した琳派と19世紀後半パリを中心に起こった印象派を比較して検討するということをコンセプトとしています。

(なんておもしろい試み!!)

小林先生のお話とともに絵画の画像も映し出され鑑賞を楽しむことができます。
テーマによって動画がわかれていて、大変勉強になります。
あまりに贅沢なコンテンツで驚きしかありません…

終わりに


最も好きな絵との出会いをくれた美術館。
名前は変わりましたが、今日も興味深い独自の視点でアートを盛り上げてくれています。
是非チャンネル登録して、美術館にも足を運んでみてください。
きっと好きな作品に出会えるはず。